
「便秘には食物繊維が良いよ」は女性なら一度は聞いたことがありますよね。でも、便秘に良いと言われているから食物繊維を摂ってみたのに、なぜか便秘が悪化したり腹痛で辛い思いをした経験はないでしょうか?
実は食物繊維の摂り方を間違えると便秘が悪化してしまう可能性があるのです。知っているようで意外と知らない「食物繊維」について、詳しくご紹介します。
食物繊維って何?水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違いとは
食物繊維は野菜や海草に多く含まれる繊維のこと。胃で消化されずに腸まで届き、ビフィズス菌を増やすなどの働きによって腸内環境を整えることから便秘解消にぴったりの成分として紹介されています。
ここまではなんとなく理解されている方も多いと思いますが、食物繊維には大きく分けて2種類あることは知っているでしょうか?
食物繊維は水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性の2つに分けることができ、それぞれ違ったアプローチで便秘解消に働きかけます。どういった働きをするのか詳しく見ていきましょう。
水溶性食物繊維の特徴
水溶性食物繊維は水に溶けてドロドロ、ネバネバになる性質を持っています。胃腸で水分をたっぷり吸着し、水分が少なくカチカチになってしまった便を柔らかくしてくれます。
また、ネバネバが胃腸内の毒素を吸着して排出するデトックス効果や、ドロドロが便の滑りを良くして押し出しやすくする効果もあります。
エシャロット、にんにく、ゆずの皮、納豆、レモンの皮、果肉、オクラなど野菜や果物に多く含まれています。
成分名としては以下になります。
- ペクチン
- ガム質
不溶性食物繊維の特徴
一方、不溶性食物繊維は水に溶けずに腸まで届く性質をしています。便のカサが増えることで腸壁が刺激されてぜん動運動が促され、腸の動きが良くなることで便秘を解消してくれます。
インゲン豆、ひよこ豆、おから、小豆、くり、エンドウ豆、みそなど、豆類や大豆食品に多く含まれています。
成分名としては以下になります。
- セルロース
- ヘミセルロース
- リグニン
こうして見ると水溶性と不溶性では便秘に対して正反対の働きをしていることがわかりますね。これからは自分の便秘のタイプに合わせて食物繊維の種類を選んでみましょう。
便秘タイプ別の選び方
どちらが自分にあっている食物繊維かは便秘をしている時の便の状態から判断できます。選び方の目安になるチェックポイントは以下の通りです。
- 水分をあまり摂らない
- 便が固い
- 便が小さくコロコロとしている
- 食事の量が少ない
- 便が柔らかい
- 便が細い
どちらに当てはまったでしょうか?便秘解消のために食物繊維を摂る時は、当てはまる項目が多い方の食物繊維を選ぶことをオススメします。
不溶性食物繊維の摂り過ぎに注意!
食物繊維の種類や選び方はお分かりいただけたと思いますが、自分に合っているとしても不溶性食物繊維の摂り過ぎは便秘を悪化させる可能性があります。
上に書いた通り、不溶性食物繊維は便のカサを増してぜん動運動を促す働きがあります。不溶性食物繊維ばかり摂っていると便のカサが増えすぎたり、便が固くなりすぎることがあります。
そうすると、腸は刺激を受けてぜん動運動をするのに便が固くて先に進まず、ひどい腹痛やお腹のハリを感じるようになります。便がつまっている状態になるため、食欲不振などの胃腸トラブルへつながります。
水溶性と不溶性のバランスが大切
「じゃあ水溶性食物繊維を多く摂れば良いんだ!」というわけではなく、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。水溶性食物繊維ばかり摂っていると便が柔らかくなりすぎて下痢になりやすくなります。
一般的に「水溶性1:不溶性2」の割合で食物繊維を摂取することが理想的だと言われています。また、不溶性食物繊維を多く取る時は水分と一緒に摂るようにすると便が固くなりすぎるのを防げます。
現代人は食物繊維が不足がち
現代の日本人は食物繊維をきちんと摂れていない方がほとんどです。食の欧米化や主食を食べないなど原因は様々ですが、男女ともに厚生労働省が推奨する食物繊維の摂取目標の半分程度しか摂取できていません。
食物繊維が不足しているところへ不溶性食物繊維ばかり摂ってしまうと便が固くなりすぎて便秘が悪化してしまうのも納得ですよね。
食物繊維が含まれている食品は普段の食事に取り入れられるものばかりです。水溶性と不溶性のバランスを摂りながら、自分の便秘タイプにあった食物繊維を多めに摂るようにしてみてくださいね。